- 第7回目 -


参加者に足し算の問題が20題載っている紙を配りました。


西原:
今から皆さんにやってもらう演技はこうです。
教師である私は問題児の皆さんに私の授業に参加して欲しくないと思っている。
そこで今日、私は皆さんに意地悪な課題として、30秒以内にこの計算を全部終えられない場合はその時点でここから立ち去ってもらうと告げました。
皆さんは私に対して反発心を持っており、私は皆さんのことを最高にうざったい存在だと思っている。いい?
私はもし皆さんが30秒以内にこの計算ができなければ、「しめしめ、思い通り!」という気分です。
じゃあ皆さんは30秒以内に全部計算を終えられた場合、私に感じる気持ちは?
生徒:
ざまあ見ろ!
西原:
オーケー、 いいねえ! (意地悪そうに)じゃあ、用紙を表にして始めよう。 ハイ!
(30秒後)へえ、一応みんな終わったんだ。・・・気分は?
生徒:
ざまあ見ろ!(笑)
西原:
今、自分が演技してる気分になった人は?
え、誰もいないの? ・・・なんで? ・・・なんでだと思う?
生徒:
帰らされるのがいやでこの計算に集中できたし・・・。
生徒:
時間が決まってて、やらなくちゃいけないことが目の前にあったから。
西原:
でもこれがお芝居だって知ってたんでしょ?
生徒:
はい・・・。
西原:
じゃあ、なんで集中できたんだろう?
生徒:
することも、目的もすごく具体的だったから・・・。
西原:
うん、そう! そうだよねえ。 自分の思いや行動、またその理由が具体的だと集中できる!

次に私たちは実際に台本を使って学んだことを確かめました。

例えば「あの本、すごく大切なんだからいいかげん返してよ!?」というセリフがあった場合、俳優はその「すごく大切な本」を具体的にイメージできなくてはなりません。
さらりと適当にイメージするだけではダメなのです。写真のように二次元的にではなく、できるなら触覚や嗅覚といった視覚以外のイメージ、他にも、その本をくれた大切な人の写真を胸ポケットに感じながらといった具合に心情的な要素も使ってより具体的にイメージするのです。
さらに話している相手との感情的な関係をサブテキスト(台本に書いてあること以外に作り上げた状況、関係)を使って具体的にします。
具体的でないものは俳優にとって「嘘」になります。人は基本的に「嘘」がへたですから、どうしてもわざとらしくなってしまいます。

実際、「具体的にする」ということは実にたいへんで面倒な作業です。それはよくわかっています。しかしこの準備こそが演技にリアリティーをもたらすものなのです。
日時
2006年4月8日(土) 15:45〜18:15
場所
ジャパンアクターズスクール 大分市津守376−1第2奈良勘ビル1階
(大分駅から送迎車が30分前に出ます。希望者は片道50円が必要です。利用をご希望の方は事前にご連絡ください)
Tel
097-554-6565
Eメール
actors@oct-net.ne.jp
料金
無料(またスクールの勧誘等を行う目的は一切ありません)
持物
筆記用具、動きやすい服装、上靴
講師
ジャパンアクターズスクール演劇講師 西原和美
〜このワークショップはスタニスラフスキー・システムをベースに進められます。〜
コンスタンチン・セルゲイビッチ・スタニスラフスキー(1863-1938) ロシアの俳優、演出家。

モスクワ芸術座を設立し、そこでの舞台活動を通じてスタニスラフスキー・システムと呼ばれる革新的かつシステマチックな俳優教育理論を確立しました。

これは「〜のように見える」という表面的な演技を求めるのではなく、俳優が自らの感覚、感情や経験を思い起こし、
それを役の感情に応用することにより「俳優が舞台上で役そのものとして生きることのできた演技こそが最も芸術的な演技である」という考えをベースに、それらを勘とか偶然ではなく確実に得ることができるようにするための方法論のことです。

この考えを基にアメリカでは「メソッド」と呼ばれる演技法がリー・ストラスバーグ等によって考案され、ニューヨークのアクターズスタジオというところで主に教えられました。

ここからはマーロン・ブランド、ポール・ニューマン、マリリン・モンロー、ダスティン・ホフマン、ロバート・デ・ニーロ、ジェームス・ディーン、ピーター・フォーク…と他にも覚えきれないほど数多くの有名な俳優が輩出され、その流れは現在も継続中です。