11.大学か、養成所か?/12.活舌の悪さは良くなるのか?/13.活舌は大切?/14.力を抜く?/15.日常でも演技?

11.大学か、養成所か?
俳優を目指しているのですが高校を卒業してから、演劇学専攻のある大学へ行こうか、俳優養成所に行こうか迷っています。どちらが有利とかあるんでしょうか?
はっきり言うと、どっちが有利とかはありませんでも学ぶ内容は大きく違ってきます。

大学の演劇専攻では演劇の歴史や演劇論という机上の学習に時間を割くのに対し、養成所では実際に体を動かして体現することがメインになります。でも芸術学部系の演劇学科というような場合はかなり養成所に近い感じで実技の時間がとられているようですけどね。

こう書くと養成所の方がなんとなくいいように感じるかもしれませんが、一概にそういうわけでもありません。演技というのはただ技術的なもののみで仕上がるものではないからです。知的、感覚的、肉体的などいろんな要素が集まってその個性を輝かせるのです。

子供の頃はともかく大人になれば演劇の歴史を学ぶことによって自分の演技スタイルに何か影響が与えられたり、演じる上でのヒントが得られる可能性だってあるはずです。ですから残念ながらどちらがいいかとは一概には言えないのです。

もし大学に進んでも大学に通いながら大学内の劇団(別の大学の劇団でも普通は入れるはずです)や一般の劇団に入団することもできますしね。

逆に実践を学ぶはずの養成所に入所しても「お金を払っているんだから何かもらえるだろう」という甘い受身感覚では何も得るものはないでしょう。しかし実際にはそういう人が多いのです。悲しいことに。

まあ、本当にやる気のある人ならどちらを選んだとしても自分の道を切り開いていけるはずです。

ちなみに私は大学に行き、大学内の劇団に席を置きながら養成所にも通い、自分が主催する別の劇団で演出と俳優をやっていました。もちろん時間的にはかなりきつかったですけどね。でも、ある意味とても充実した毎日でした。


12.活舌の悪さは良くなるのか?
高校の演劇部で演技の勉強をしているのですが、よく活舌が悪いと言われます。気にしているつもりなのですがなかなか良くなりません。活舌の悪さはなおるものなのでしょうか?
もし生まれつきの障害があるのでないなら必ずなおります

この質問は「英語の発音は良くなりますか?」という質問に似ています。

自分のクセを知り改良し、ちゃんと正しい訓練を続ければ、例えばアメリカでは3歳の子供がちゃんと正しい発音で英語を話しているんですから活舌の問題も全く同じ、必ず良くなります。

小さな子供たちが聞くことからはじめるように、まず聞くことから始めます。正しい音を注意して聞くことから問題解決を行います。それから発音、発声の訓練を行います。あせらずに訓練を続ければ必ず活舌は良くなります。

訓練法は「この竹垣に竹たてかけたのは…」のようなものを繰り返し練習するのですが、まずその前に体をリラックスさせることが必要です。

ちなみに仰向けに寝て、あごと首の筋肉をマッサージしてから今まで発音しにくかったフレーズをちゃんと言葉の意味をイメージしながら言ってみて下さい。かなり楽に言えるようになるはずです。頭も体も緊張していては本来の機能を発揮できないのです。

しかしそれでもうまく発音できないセリフがある場合は「子音抜き訓練」を試してみて下さい。

例えば「この竹垣に竹たてかけたのは」なら「おおあえあいいあえあえあえあおあ」とすべて母音のみで慣れるまで言ってみるのです。まあ試してみて下さい。かなり改善されるはずです。

これらは決して面白い訓練ではありませんが、3ヶ月程も真面目にやればほとんど問題ない活舌を手に入れることができるはずです。あきらめずに頑張りましょう。


13.活舌は大切?
活舌が悪いとよく注意されるのですが、普通生活していて自分がそんなに発音が悪いと感じたことはありません。活舌にそんなに神経質にならなくてはいけない理由があるのでしょうか?
生徒にこんな実験をしたことがあります。

活舌の良い役者が台本を読んだ時と活舌が悪い役者が台本を読んだ時を比較し、それを聞いた後の各自の頭に残ったその意味とイメージの明確さ具合を尋ねてみました。

するとほとんどの生徒が活舌の良い役者が台本を読んだ時のほうがイメージが強く残ったと答えました。

私はよくファックスの機械を例にして話すのですが、送り側の機械の性能が悪いと情報がかすれ、相手にそれがはっきり伝わりません。また伝わるには伝わっても受けた相手は推測しながらその内容を理解しようとするので、理解するにも時間がかかってしまいます。

実際、活舌の悪い役者のセリフは観客やその受け手である相手の役者の頭にイメージを的確に形成することができず、観客を疲れさせ、聞く側の集中を妨げます。

活舌の悪さは役者から伝えられるはずの本来あるべきイメージを曇らせてしまうのです。

活舌がいいということは役者にとって実に大切な要素といえると思います。


14.力を抜く?
中学で演劇をやっているのですが肉体訓練の時、いつも先輩たちから「力を抜け!」「力が抜けてない!」と言われ続けています。でも先輩の言うとおりやってもなかなか良くなりません。何かアドバイスをお願いします。
あなたも間違いなく力を抜くことはできるはずです。というか力を抜くことができない人はめったにいません。

あなたはただ自分の体にとって、力を抜いた状態がどういう状態なのかをまだちゃんと知らないだけなのです。そのためにはまず、「これが力を抜いた状態だよ」というのを体に教えてあげなくてはなりません。

あなたにだけに限らず、多くの人は力を入れることは簡単でも力を抜くことはなかなか難しいものです。

まず仰向けに寝てみてください。そして足の先から足首、ふくらはぎ、ふともも、腰、おなか…と、首や指先までを区切りながら力を抜こうと意識してみてください。

そのまましばらく寝ているとおなかが上下にゆっくり動き、自分が今腹式呼吸をしているということをはっきり自覚できるはずです。

次に誰か別の人にあなたの膝に下の手を入れてもらいゆっくりあなたの足を持ち上げてもらってください。

その時もし、膝より下の部分が一緒に上がってしまったらならあなたは下腹部から脚にかけての力が抜けていないのです。

体のどこの力を抜けば、膝より下の部分が上がらなくなるか試し、最終的には足がダランとあやつり人形のようになればとりあえず足はオーケーです。あまり一生懸命にならず思わず笑みがこぼれるようなリラックスした気持ちで臨んで下さい。

次に立ち上がり真っ直ぐ立ちます。(この時本当は若干前のめりになる形が理想なのですが、この説明はこのような文章のやり取りでは難しいので残念ながら省きます)

真っ直ぐ立ったら、まず息をミゾオチ(おなかの一番上の部分)の辺に力が入る形で止めていないかどうかをチェックして下さい。リラックスして、息を吐く時最後まで息が吐き切れているかチェックするのです。

ここは演技中も頻繁にチェックして下さい。ミゾオチの辺に力が入ってしまう人がかなりいるはずです。

次に何度かゆっくり深呼吸した後、足のときと同じように誰かに片手の二の腕部分をゆっくり上げてもらいます。さて肘から先はダランと垂れ下がったでしょうか?

これも、もしできなかったら足と同じようにどこの力を抜けば「ダラン」となるのかいろいろ試してみます。

多くの人はこの練習中に自分が自分の体を思うようにコントロールできていないことを知るはずです。

もしもこれらのことをやっても改善されないようでしたら、また連絡して下さい。その場合、あなたが所属している演劇部ではどのような肉体訓練をしているのかをできるだけ詳しく教えてください。


15.日常でも演技?
憧れている俳優の人が以前「日常生活でも演技している」と言っているのを聞いたのですが、演技の上達を図るためには日常生活でも演技した方がいいのでしょうか?
うーん、その俳優さんの言った意味は「人は日常生活の中ではだれもが無意識に演技をしている」という意味なのではないでしょうか?

例えば部下に非常に厳しいことで有名なある会社の部長さんが趣味で習いに行っているダンスの先生に対してはとても低姿勢でおどおどとした態度をとっている。このようなことは日常的にも見かけることであり、人は状況や場所に応じて演技をしていると言えると思います。

しかしもしあなたが「演技訓練のため」として意識的に日常で演技を試みても、それが演技の上達に繋がるとは考えにくいです。

あなたの行為は恐らく自意識過剰的でアンバランスなものになってしまうでしょう。

演技は「演技をしよう」と思った瞬間本当のそれから離れていってしまうデリケートなものです。

あなたがまず日常生活でできることはしっかりと感じることです。しっかりと見、しっかりと聞き、しっかりと味わい、しっかりと匂い、しっかりと触れるのです。

これらは単純で面白いことではないかもしれませんが、生き生きとしたその感覚を感じ、記憶にとどめる事が日常生活の中であなたができる最良のことだと思います。

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